2010年6月1日火曜日

不思議な空間、DMZ

韓国のカルチュラルツアーはDMZの訪問でした。朝鮮戦争から50年以上経った今でも、韓国と北朝鮮に分裂されたままですが、その境界線上にDMZがあります。はじめに戦争の様子がなまなましくでている、電車の銃弾の痕跡を見学しました。銃痕が電車の車輪を貫いている跡や、電車の側面を激しく撃たれた跡などがあり、当時の激しさを表していました。

そこから今度は橋を渡り、第3トンネルへ向かいました。朝鮮戦争で壊れた橋を復元したものです。韓国の政治が北朝鮮に対して太陽政策をとっていた頃に復元されたようです。ここからの空間は、今まで過ごしてきた空間よりも若干空気が張り詰めたような雰囲気を感じました。バスで向かっていく途中の景色に、人の姿がほとんどいないので、どことなく物寂しい雰囲気が漂っています。でも、日本の田舎のような温かさを感じることはできず、天候が曇っていたせいもあってなのか、暗い気持ちにさせられます。

見学した第3トンネルとは、北朝鮮がソウルを攻めるために地下にトンネルをつくって韓国領土に潜入しようとした跡地になります。今まで4度、トンネルを作っていましたが、この第3トンネルが一番ソウルに迫った距離に作られており、見学できる場所になっています。写真はとれないので中を見せることはできませんが、地下までもぐると、よくこんなところにトンネルを作るなと思うくらい深いところにありました。ずっと坂を下っていくのでちょっとしたエクササイズです。

次に見学したのは都羅展望台です。展望台からは北朝鮮の街が見えます。川を挟んで数十メートルのところに両国の国旗があり、互いに監視状態となっております。展望台の端からは写真をとることができないのですが、ちょっと離れたところからであれば写真をとることが可能でした。韓国の軍隊もこの展望台では警備が厳しく、ちょっとでも韓国の設備や、写真不許可地域で写真をとった疑いがあると注意されました。戦争の膠着状態を物語っているような重々しい雰囲気を感じられます。(ちょうどこのときは北朝鮮のミサイル問題の疑いがある状態だったので厳しかったのかもしれません。)

最後に見学したのは、都羅山(トラサン)駅と呼ばれる場所です。韓国、ソウルから列車でいくと、北朝鮮の国境手前の駅になります。戦争前は列車がつながっていたようですが、今は北朝鮮の国境前で閉じられており、両国の緊張状態が解けたあとに、北朝鮮とのつながりをまっている駅でもあります。改札口には憲兵が立っていました。また、利用はないのですが、国境らしく税関があったり、乗り場の看板には既に平壌方面の文字があって、平壌まで何キロという表示もあったりしました。

駅の改札には南北鉄道締結後のユーラシア大陸横断鉄道の路線図があり、これによれば、統一後はヨーロッパまで一本の線路でつながることになっています。第3トンネルや都羅展望台とは違って、南北の統一を願って、駅がつながりをまっている雰囲気が、なんとなく希望を感じられました。

日本に住んでいると、なかなか戦争の実態についてわからないことが多いですが、こういうDMZのような地域を訪れることで、よい経験ができました。DMZに入ると、人がほとんどおらず、また、いても軍隊しかいないのでどことなく生活感がなく、温かみを感じません。同じ民族でも国が別れてしまった悲しみを感じることができたと思います。

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